2019年12月25日(水)

 

本日はクリスマス,そして2019年最後の授業ということで,学部1年生の英語授業で(半ばクリスマスイベント的に)一人ずつスピーチをしてもらうことにしました.

 

 

40人程の大規模クラスなので,一人3分のスピーチ. 

 

 

お題は「自分のこと,自分の好きなこと・ものについて,クラスメイトが興味を持ってくれるように,分かりやすく話す」という,一見簡単そうに見えるものにしました. ですが,「クラスメイトが興味を持ってくれるように,分かりやすく」というところに,話し手側の工夫や思考が求められるので,この部分に課題の負荷をかけたつもりです.

 

 

大規模クラスの授業では,一人ひとりのパフォーマンスになかなか目を向けることができないので,今日のスピーチでどのようなパフォーマンスが見られるのか心待ちにしていたのですが,結果は期待以上のものでした.

 

 

人前で話すことが得意な人もいれば苦手な人もいますので,そこで差が出ることは仕方がないことですが,それをさておいても,一人ひとりのライフ・ヒストリーが伝わってくる,40人それぞれに異なる魅力のある,それはそれは素敵なスピーチを聞くことができました. 

 

 

最後に,リフレクションを書いて提出してもらいましたが,皆それぞれにクラスメイトのスピーチからいろいろなことを学んだようです.

 

 

I君という学生は,ご家族のことを紹介してくれたのですが,お父さん,お母さん,お兄さん,妹さん,一人一人にパワポのページを割いて,それぞれがどんなに魅力的な人なのかを英語で話してくれました. そして,最後にI君が言った言葉.

 

 

"I love my family.  I really look forward to going back to Hiroshima to see my family this winter break."

 

 

自分の家族のことをこんなふうにクラスメイトに話せるってすごいな,素敵だなと,一人の聞き手として感動してしまいました. 

 

 

 

本当に印象深い素敵なクリスマスになりました. 

 

 

いつも感じることですが,「教えること」というのは「(学生から)学ぶこと」でもあります.

 

 

 

 

 

 

2019年11月26日(火)

 

オーストラリア応用言語学会(Applied Linguistics Association of Australia, ALAA) で研究発表を行いました.

 

 

今回は,大阪大学の岡本紗知先生と共同発表でした.

 

 

Yasuda, S. & Okamoto, S. (2019). Voice in science writing: Is "objectivity" an ideal for scientific argumentation? Applied Linguistics Association of Australia, November 26, 2019, Curtin University, Perth, Australia. 

 

 

このプロジェクトでは,医療系の学術論文,約1000本をサンプルに,書き手のVoiceがどのような文体や語彙表現で表出されているかを,Systemic Functional Linguistics (SFL)の枠組みを用いて分析しました. 背景には,「自然科学系の文章は客観的に書くべき」や「書き手のagencyは限りなく隠すべき」や「受動態を使うべき」といったよく耳にする通説は,果たして本当なのかを検証したい,というねらいがありました. 

 

 

分析の結果,医療系の学術論文のディスコースは時代の変化とともに変わってきており,最近の論文では,書き手のagencyがかなり明確に(明示的に)表現されていることが分かりました. 今回の発表では,サイエンスディスコースが具体的にどう変わってきたのかを,SFLの枠組みに基づいて分類し,学術論文の指導や支援にどう役立てるか,その教育的示唆について報告しました.

 

 

発表の後,アカデミックライティングを指導している先生方から「自分の教え方を見直すきっかけになった」というような温かいコメントをいただきました.Bond Universityの先生からのメールには,ご自身の教師としての経験が書かれていてとても興味深かったです.

 

 

I found your presentation fascinating, as I am often finding myself “correcting” students’ use of personal pronouns (in my role as Academic Language and Learning Advisor). Your presentation has made me reconsider when I do this. It has motivated to talk to academics in the Health Science and Medicine faculty to find out their views as well. You have given me plenty of food for thought.

 

 

 

このプロジェクトの継続にスイッチが入りました. 

 

 

加えて,パースは空が広く,大地が広く,人々の心もおおらかで,心が洗われるような四日間を過ごすことができました. この経験に感謝です.

 

 

 

 

 

 

2019年10月24日(金)

令和元年度 前期,全学共通教育ベストティーチャー賞,「学生から高い評価を受けた教員10名」に選んでいただきました.

 

 

この学期,全学共通教育では,English Literacy A1 & A2 とProductive English 1 & 2 を担当しました.

 

 

本年度は,学外での公務が多く,休講が多くなりがちだったのですが,にも関わらず(もしかしてそのせいだったのかもしれないけど!),前学期に続いて学生から高い評価をしてもらえたことは,やはりとても嬉しいことです.

 

 

教材は,教科書は使わず,最新のニュースや新聞記事など,すべて手作りで進めていて,かなり時間をかけて準備をしていますので,その努力も少しだけ報われた気がしています.教壇に立つ以上,このような努力をすることは当たり前のことではありますが.

 

 

今後も,学生にとって有益な授業が提供できるよう,努力します.

 

 

* 写真は,記事の中身とは関係ありませんが,この9月に訪問したハワイ・アラモアナの景色です.

 

 

 

 

 

 

2019年10月1日(火)

2017年度より,CLIL (Content and Language Integrated Learning)という教授法に関するプロジェクトに取り組んでいますが,その成果報告として,小学生の外国語ライティング能力の発達と評価についてまとめた論文が,国際ジャーナルのSystem Volume 85に掲載されました.

 

 

Yasuda, S. (2019). Children's meaning-making choices in EFL writing. The use of cohesive devices and interpersonal resources. System, 85

 

 

私は,2000年代半ば頃から本格的に第二言語ライティング研究をスタートさせましたが,当初は,学習者が産出する文章の「形式」面(語彙の多様性や洗練性,文章の複雑さなどが,どう変化していくかに注目し,それが文章の全体的な質(ルーブリックに基づく評価)とどう関係しているかに関心がありました.

 

 

ですが,研究を進めるにつれ,学習者が書く文章は,こうした「形式」とか「ルーブリックに基づく全体的評価」といった量的分析だけでは説明できない,「もっと深い何か (something far richer than frequency, accuracy, and complexity)」がある,ということを考えるようになりました. それは,例えば,書き手が読み手に説得的に情報を伝えるために使う「修辞技法」や,読み手の理解を促すために書き手が巧みに使う「誘導ストラテジー」といったものです. こうしたものは,語彙多様性や文章の複雑さの計量的分析からは表出されないものですし,ルーブリックの指標(内容,構成,文法,語彙等)にも多くの場合,含まれていないものです. しかし,書き手が読み手を導くために選択するこの技法は,見落としてはならない,ライティング能力の重要な構成要素であるはずです. 「ルーブリックの指標に入っていないから見なくていいのだ」という種のものではないはずです.

 

 

今回,小学5年生が書いた英語の文章を分析しながら,そのことを再認識しました. 子どもたちは,限られた言語リソースしか持たないながらも,様々な修辞技法で読み手を巧みに導いていました. 今回の論文のタイトル "Children's meaning-making choices"とは,まさに,子どもたちが選択するその技法のことです. 

 

 

第二言語ライティング研究は,大人の学習者のデータを中心に発展してきた領域で,Young Learnersに関する報告は特にEFLからはほとんど発信されていません. そういう意味でも,この論文が第二言語ライティング研究の発展に少しでも寄与することができれば...と願っています.

 

 

 

 

 

 

 

2019年9月26日(木)

今年も,福井大学医学部で,若手研究者向け英語論文執筆セミナーの講師を担当させていただきました.

 

 

一昨年,昨年に続いて,今年で3度目になります. 医学部のウェブサイトでは下記のような周知をしていただいたようで,有り難い限りです.

 

 

医学図書館及び医学研究支援センター主催にて、若手研究者及び大学院生を対象に、英語論文執筆セミナーを下記の通り開催します。

 

講師は、大好評につき一昨年から連続のご登壇となります 神戸大学の保田幸子先生です。

 

 

2年前,「医学部の先生方を相手にオマエが医学系の論文の指導なんかできるんか?」と言われるんじゃないかとビクビクしながらお引き受けした仕事でしたが,第二言語ライティング研究やジャンル研究の知見から,理論に基づいた講義と実践演習を自分なりにデザインしました. その結果,こうして3年連続でお声をかけていただいていること,自分の研究領域がこうして実践の場で少しでも役に立っているのだとすれば,本当にこれ以上の喜びはありません.

 

 

今年は,医学部の先生方だけでなく,大学院生の方々,別のキャンパスの工学部の先生方もご参加くださいました.ありがとうございました.

 

 

毎年このイベントを企画・運営してくださっている福井大学医学図書館の清水史子さんにも心より御礼申し上げます.

2019年9月21日(土)

学術英語学会 第5回 研究大会が日本医科大学で開催され,基調講演を担当させていただきました.

 

 

基調テーマは「英語論文の書き方 ー誰が教えるのか,どう教えるのかー」というものでした.

 

 

なるべく個人的な見解だけにならないよう,第二言語ライティングの理論的枠組みをベースに,先行研究の知見を参照しながら,英語論文の重要性,指導法の提案,指導者の育成という順序で話を進めました.

 

 

3連休の初日にも関わらず,多くの先生方,院生の方々が会場まで足を運んでくださいました.

 

よいフィードバックをたくさんいただき,私にとっても非常に有意義な経験になりました.

 

ありがとうございました.

 

 

 

 

 

2019年8月12日(月)

 

学術英語学会 第5回 研究大会(2019年9月21日(土)於:日本医科大学)で,基調講演を担当させていただくことになりました.

 

 

基調講演テーマは,「英語論文の書き方 ーどう教えるのか?誰が教えるのかー」です.

 

 

下記が大会プログラムのリンクになります.

 

 

第5回 学術英語学会研究大会 プログラム

 

 

 

学術論文(Research Paper)は,自身の研究成果を世界中の読み手がその意義を理解できるように書き言葉でまとめたジャンルです.

 

 

研究の意義を読み手に理解してもらうために,書き手には,大きく2つの力が求められます. 1つ目は,研究を計画し,実施し,先行研究と関連づけながら意義のある考察を加える「研究力」,そして2つ目は,それを書き言葉で伝える「文章力」です. 前者は,研究の中身そのものを指す「WHAT」の部分,後者は,その中身を分かりやすく伝える技術を指す「HOW」の部分と言い換えることができます.

 

 

 

不思議なことに,日本では,前者の「研究力(WHAT)」については,教室や研究室の中で明示的に指導されることはあっても,後者の「文章力(HOW)」については,十分に(ほとんど)教えられないことが多いのではないでしょうか. その結果,見よう見まねで論文を書いている研究者が意外と多いのではないかと推測します. 「大事なのは教わることではなく盗むコト!」という根拠のない都市伝説が浸透していることも,影響しているのかもしれません.

 

 

 

少し英語から話は逸れるのですが,日本の国語教育は「文学教育」に大部分の時間が割かれており,ことばをコミュニケーションの道具として教える「言語技術教育」には,十分な時間が割かれていないという報告があります(木下,1994).「作文」という活動は確かに国語教育の中に存在していますが,扱われるジャンルは「感想文」や「日記」など,expressiveなジャンルが多く,情報を他者に伝えるinformativeなジャンルは,特に初等教育においてはほとんど扱われていません. 木下是雄先生が指摘しているように,日本の国語教育では,「作文を技術として指導する」という考え方ではなく,「作文は表現のためのツール」という考え方の方が強いということなのかもしれません.

 

 

 

文学教育を否定しているわけではありませんが,文学教育ではない国語教育,すなわち「言語を伝える技術として教える」という考え方も,同じくらい重要ではないかと思います. 「伝える」ということは「読み手を意識して言葉を選択する」ということで,このような意識や感覚,技術を,まず母語で,なるべく早い初等教育の段階から育てていくことが重要ではないかと考えます. Jim Cumminsが指摘しているように,母語で育った文章力は,その後,外国語で書く際にも転移(transfer)する可能性が高いからです(→Common Underlying Proficiency, 共通基底能力).

 

 

 

研究大会では,国語教育とも関連付けながら,外国語で文章を書く能力と論文というジャンルを書く能力について,お話したいと考えています.

 

 

 

ご都合がよろしければぜひご参加ください.

 

 

・木下是雄(1994)『レポートの組み立て方』 ちくま学芸文庫

 

 

 

 

2019年6月20日(木)

 

今学期,大学院では「質的研究法 (Qualitative Research Method)」の授業を担当しています.

 

 

『コミュニケーション研究法』(ナカニシヤ出版)を主教材とし,国際ジャーナルに掲載された論文を毎回補助教材として読んできてもらっています.

 

 

講義とデータ分析演習を中心に,下記のような構成でシラバスをデザインしました.

 

 

 

1.質的研究の理論的基盤 (1): 質的研究の枠組み,量的研究との哲学的違い

2.質的研究の理論的基盤 (2): 認識論,実証主義,解釈主義,社会構成主義

3.  質的研究のプロセス (1): データ,サンプリング

4.  質的研究のプロセス (2): コーディング,カテゴリー化,概念抽出

5.  質的研究のプロセス (3): トライアンギュレーション

6.  質的研究の技法 (1): インタビューの種類

7.  質的研究の技法 (2): フィールドワーク

8.  質的研究の技法 (3): グラウンデッド・セオリー (Grounded Theory)

9.  混合研究法 (Mixed Method Research)

 

 

外国語教育以外にも,社会学,ジェンダー論,翻訳論など様々な専門の院生が参加してくれています.専門が異なる=ものの見方や世界観や切り口が異なる,ということで,様々な観点から意見が飛び交い,いつも質の高いディスカッションが繰り広げられているように思います.

 

 

講義が始まった4月当初は,多くの学生が「一般化や普遍化ができないデータにどんな意味があるのか」という固定観念に縛られていたように見えましたが,「現象に切り込む」ということの哲学的意味や,「実証主義 (positivism)」や「解釈主義 (interpretivism)」など様々な科学哲学の存在を学ぶにつれ,量的研究と質的研究は,互いに相反するものではなく,補完し合う関係にあることを学びつつあります.

 

 

「研究方法」の授業というのは,単に「方法」を学ぶだけではなく,背景にある「哲学」とか「現象論」とか「認識論」などの「科学哲学」を学ぶことではないかと思います.

 

 

ハワイ大学の博士課程で授業を受けたときにはあまり自覚していませんでしたが,自分が教える立場になって,改めて「研究方法」の授業の大切さと奥深さを自覚するようになりました.

 

 

自分で言うのも変かもしれませんが,この授業は,これから修士論文研究を行おうとする人全てに役立つ内容になっていると思うので,来年もぜひ多くの院生のみなさんに履修してもらいたいと思います(自画自賛).

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年5月1日(水)

2017年度より,CLIL (Content and Language Integrated Learning)という教授法に関するプロジェクトに取り組んでいますが,その成果報告(中間報告)の一つが,JALT Journalに掲載されました.

 

 

Yasuda, S. (2019). Conceptualizing integration in CLIL: More than just learning content and language. JALT Journal, 41, 49-65

 

 

投稿したのは2017年の12月頃でしたが,2名の査読者とエディターから細やかで示唆に富むコメントをいただき,何度も書き直すプロセスを経て,本日の刊行まで1年半かかりました.

 

 

今日は,新しい時代「令和」のスタートの日. 同じ日に論文が刊行されましたが,これはゴールではなく,また次の目標に向けて長い道のりを走るスタート地点に立ったことを意味しています.

 

 

 

年々仕事が忙しくなってきて,研究に割ける時間が少なくはなってきていますが,制限がある中でも,しっかりと,着実に,成果を出していきたいと思います.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年4月1日(月)

 

 

 

平成30年度後期,全学共通教育ベストティーチャー賞,「学生から高い評価を受けた教員10名」に選んでいただきました.

 

 

この学期,全学共通教育では,English Literacy B1 & B2(月4,水1,水2)とProductive English 1 & 2 (月5)の科目を担当しました.

 

 

神戸大学に赴任して2年目(4学期目)の担当クラスになりますが,これまでで最も印象に残る素晴らしいクラスでした. 私自身がこの出会いに感謝していたので,履修していた学生から高く評価してもらえたことは,何にも代え難い喜びです.

 

 

平成30年度をこのような嬉しい結果で締めくくり,本日から新年度がスタートします. そして本日,新しい元号が発表となり,5月からは「令和元年」がスタートします.

 

 

この時期,親御さんと一緒にキャンパスを歩いている新入生を見かけます.こうした光景を目にすると,週に一度だけの講義とはいえ,大事なお子様を預かっているんだな,ご両親の思いに応えられるようにしないといけないなと、自分の役割を再確認します.

 

 

 

この春入学する新入生のみなさんは、平成13年 (2001年)生まれらしいです。ついこの前やん!という気がします。 令和元年に大学入学。一人ひとりがそれぞれの場所で花を咲かせることができますように。そのために、また新年度からも全力でがんばります。

 

 

 

 

2019年3月14日(木)

 

大阪市立大学大学院文学研究科の方で,英語論文執筆ワークショップの講師を務めさせていただきました.

 

 

昨年に続き二回目の担当になります.

 

 

今年も市立大の様々な学部から,たくさんの院生の方々,教員の皆様にご参加いただきました.

 

 

招聘してくださった文学研究科の先生方,事務的な手続きをサポートしてくださった職員の方々,ありがとうございました.

 

 

 

 

 

 

 

2019年2月16日(土)

CamTESOL 2019 で研究発表をしてきました.

 

 

Yasuda, S. (2019). Writing-to-learn and learning-to-write: A genre/task-based curricular approach. 15th Annual CamTESOL Conference. Institute of Technology of Cambodia. Phnom Penh, Cambodia, February 16, 2019.

 

 

Writing-to-Learn Language(言語能力を高めるためのライティング)とLearning-to-Write Content(内容を伝えるためのライティング)を効果的に結びつけ,二つの領域を双方向的に伸ばしていくカリキュラムやタスクの開発についてお話させていただきました.

 

 

これは少し前のプロジェクトになるのですが,これまで東アジアで発表したことがありませんでしたので,初めてのCamTESOLでの発表のトピックとして選びました.

 

 

東アジアの先生方や大学院生が主な聴き手であることをイメージして,原稿やスライド作りに取り組みました. 聴き手や文脈が変わると,伝えるべき情報やその情報の伝え方も,やはり変わってきます.発表自体もそうですが,準備段階でも自分の思考を別の観点から深めることができ,良い勉強になりました.

 

 

CamTESOLでの発表は,生まれて初めてカンボジアを訪れる機会にもなりました. 3日間の滞在でしたが,いろいろな意味で新しい経験の連続でした. 元々フランス領だったことが関係するのか,デニッシュパンがとても美味しかったのが印象的でした(一個70円くらい).

 

 

 

 

 

 

2019年2月7日(木)

神戸大学付属図書館主催「学術英語スキルアップセミナー」にて,「研究者のための英語論文の書き方」を担当させていただきました.

 

 

 

学術論文の構成,読み手を導くためのムーヴと定型表現など,これから初めて英語で論文を書こうとする人向けにワークショップ形式で進めさせていただきました.

 

 

学期末の忙しい時期にも関わらず,こちらが用意したタスクに一生懸命取り組んでいただき,講師の私自身とても有意義で充実した時間を過ごすことができました.

 

 

約60名の先生方や院生の方にご参加いただきました.アンケートではとてもポジティブなコメントをたくさんいただきました.ありがとうございました.

 

 

 

 

 

 

2019年1月29日(火)

 (地独)大阪産業技術研究所にて,「研究者のための英語テクニカルライティング ー国際的に通用する論文の秘訣ー」というタイトルで,講演とワークショップを担当させていただきました.

 

 

今回は,材料・デバイス工学がご専門の研究者の方々が対象ということで,これまで担当することの多かった医学系の論文とは,少しお作法(=分野特有の論文の書き方,好まれる文体)が異なります. ということで,ワークショップの内容と教材の準備にあたり,少し勉強が必要になりました. 大阪産業技術研究所の研究主幹の宇野さんにご協力いただき,下記の国際ジャーナルの論文の文体やMovesを分析してみました.

 

 

Nature Materials

Journal of American Chemical Society (JACS)

Organic Electronics

Journal of Physical Chemistry

 

 

この一ヶ月くらい,空き時間はほとんどこれらの論文の分析や教材作りに時間を割いたのですが,この分野に特有だと思われる文体や定型表現をいくつか見つけることができました. そして,よく言われる自然科学系は中身で勝負.レトリック(修辞技法)は必要ない」という説は正しくなく,IFの高いジャーナルに掲載される論文は(特にNature Materialsは),「文学的」といってもいいくらい,読み手を誘導するレトリックが豊富に使われていることに気がつきました. 重要な情報を強調するboosters(例:extremely, substantially)や断定度を弱めるhedge(例:relatively, generally)も非常に巧みに使われています. 「読み手に正確に情報を伝える」という学術論文の目的は,文系か理系かに関係なく(個人的にはこの二項対立には疑問を持っていますが)共有されていて,そのために,書き手は「読み手を導くレトリック」を身につけておくことが重要だということに改めて気がつきました.

 

 

質疑応答では,"we"を用いた能動態の文と受動態の文の使い分け,過去形 (we developed...)と現在完了(we have developed...)のニュアンスの違いなど,いろいろな角度から質問をしていただきました. これらは,あまり明示的に教えられることがないけれど,意味形成において非常に重要な項目です. 参加していただいた皆様に助けられながら,有意義な3時間を過ごすことができました.

 

 

大阪産業技術研究所は,大阪府和泉市にあります. 大阪は天王寺から南に行ったことがなかったので(関西空港にアクセスする以外は),ちょっとした小旅行気分で往復を楽しむことができました. 生まれて初めて泉北高速鉄道に乗りました.

 

 

ご参加くださったみなさま,そして,今回のセミナーに招聘してくださり,教材作成にあたりいろいろとご助言をくださった大阪産業技術研究所の宇野真由美さんに改めて御礼申し上げます.